三本足のコユキ
うちのランマお嬢さんは赤ちゃんを産んでくれなかったけど、私が一番可愛がっているヤマトが赤ちゃんを産んでくれたっ!初めての愛犬の出産だったので、かなり私もドキドキ。ところが、出産直前、急に日本から親友のエミコが来ることになって、サファリに出かけなければいけないことに。私がいない間に赤ちゃんとか産まれたら困るなと思って、身重のヤマトは私が不在の3日間獣医さんに預けることにした。野生動物の天国、マサイマラ国立保護区に女二人でマイカーを運転して行き、サファリから帰ってくると、すぐ獣医さんの所に行った。
「ヤマトの子供産まれましたか?」
「ちょっと待ってね。すぐ連れてくるわ。」
そう言うと、獣医さんは診察室の後ろのケネル(犬小屋)から、出産を終えすっかりやせ細ったヤマトと小さなモゴモゴ動く生き物を2匹連れてきてくれた。
「かわいいぃ〜!!」

めちゃくちゃ小さくて、白くてフカフカして、大福みたい〜!おまけに、一匹はやたらでかくて、デブデブである(デブりんと呼ぶことに)。小さな命の誕生に感動してしまった。おまけに白地に黒い斑点があって、ヤマトのミニチュア版。ヤマトの子供のころを思い出してしまう。
「本当はね、4匹産まれたんだけど、奇形児だったのよ。Cleft Palate で、口の中がちゃんと閉まってなくて、生き延びれなかったの。」
奇形児だったんだ・・・。当時は2年生で何も分かってなかったけど、今考えれば、奇形児の子は、たぶん「生き延びれなかった」のではなくて、「安楽死させられた」のだと思う。
「それと、この子なんだけど、ちょっと足に問題があるのよね。」
まだ何かあるの?小さい方の子犬を抱き上げて、獣医さんが指差す足を見てみた。なんか足首らへんが黒っぽくてジュクジュクしている。
「お腹の中にいた時にへその緒が足に巻き付いていたみたいなのよ。炎症を起こさないように抗生物質の注射をしておいたわ。」
へその緒がずっと2ヶ月も巻きついていたら、皮膚は血が通わないので腐ってしまっていることだろう。毎日抗生物質クリームを塗ってあげていたが、縫った後、すぐヤマトが舐めてしまっていた。そして、しょっちゅう舐められているので、足はどんどんジュクジュクしていく。どうも、あんまり治りそうな雰囲気ではない。案の定、2日たったころ、どす黒くなった皮膚が靴下を脱げるように、足の爪と一緒にもげてしまった・・・。

皮膚と一緒に指と爪も取れて、残ったのは爪が2本だけ。
子犬の足は赤向けになって、薬をつけるたびに痛そうにモゴモゴ動いてキューキュー泣いている。おまけに赤向けの場所をヤマトがずっと舐め続けて、痛そうである。残った2本の爪も、1本はそのうち自然に取れてしまった。腫れた足でふんばってお乳を飲む子犬は、かわいそうで仕方ない。あまりのひどさに足を切断しなければいけないのかと心配になったこともあった。
でも、その子は強い子で、デブりんが歩き始めた時、痛い足を使って自分もちゃんと歩き出した。そして、2ヶ月になった時、もう一匹のデブりんは友達にもらわれて行ったが、足を怪我した子犬を売ることは出来ないので、私の家の子にすることにした。小さい時、真っ白で雪だるまみたいだったので、名前は「コユキ」になった。

足を怪我している以外は元気なコユキ。
その後、コユキの足は完治した。でも、昔歩く時に痛みを感じたのを覚えているのか、3本足でヒョコヒョコと歩く犬になってしまった。そして、3本足で歩く姿を見て、私のクラスメートはコユキのことを「スペアタイア」と呼んでいる。最初はまだ痛みがあるのかと思って心配していたが、よく見てみると、他の犬と遊んで走っている時などは4本足で走り回っているので痛みはなさそうである。

今では、他の犬達にも負けない元気な子。立派な我が家の一員である。左の後ろ足が怪我している足。

現在のコユキの足。ちゃんとした指はなく、ダチョウの足みたくなってしまった。爪は2本だが、真中の爪は横に生えてくるし、毛も生えてこない。
ダチョウの足でもなんでも、足を切断しないですんだ事と、今、元気に走りまわっているのが一番である。

