獣の女医 in アフリカ

趣味は○○です。

「この人はナイロビ大学で獣医学を勉強していて、趣味は去勢なんですよ。」

私の友達は、初対面の人にこのような紹介をしてくれるので困る。も〜、やめようよ、そういう人の紹介するのはさ・・・。「趣味は去勢」って、いったいどんな人間だよ・・・。

こういうことを言われ始めた原因は、外科が始まってからよく去勢手術をしに行っていたかららしい。去勢は簡単な手術なので、獣医さんの見習いに行くとよくやらせてくれたりする。なので、外科が始まった時には、しょっちゅう「去勢手術してきた」の連発をしていたら、「この女の趣味は去勢」と言われるはめに・・・。

私が3年生の時に初めて行ったのは、ロバの去勢だった。アニマルシェルター主催の「去勢キャンペーン」で、ナニュキという町のロバの玉取りに行ってきた。ロバはケニアで大切な労働力だが、結構気性が荒いので去勢をすることによって扱いやすくなるらしい。そして、ナニュキが選ばれた理由が、

「ロバのギャング・レイプ」 (まじで?)

ある家でロバを6頭飼っていたらしいのだが、なんと、そのうちのメス1匹がオス5匹に「まわされた」らしい・・・(お、恐ろしい)。まだ6ヶ月ちょっとだったメスロバは、オス5匹にまわされて子宮からの大量出血で死んでしまったと言う。飼い主は怒って、「うちのオスを全部去勢して欲しい」とアニマルシェルターに依頼。「去勢キャンペーン」では貧しい人でも自分のロバを去勢するのが可能なようにタダで去勢ができる。このキャンペーンに参加したメンバーは、ロバの獣医さんのドクター・オニャンゴ、馬の獣医さんのドクター・バーマ(サハラの南からリンポポ川の北まで知られると噂されるインド人獣医。私の実習見習先。)、私とクラスメート一人である。

この去勢キャンペーンは面白かった。丸一日で合計28頭のロバを去勢。朝から晩まで、まさに「玉取りザンマイ(?)」である。最初の1頭が終わると、一番年配のドクター・バーマは、

「今のが手本。ワシは腰が痛いから、後は若い奴らにまかせるか。」

と木の下で休み始める。

え・・・?うちらがやっていいの?(やった〜♪)

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麻酔薬の静脈注射をするドクター・バーマ。上に立ってるのはドクター・オニャンゴ。ロバの首って馬に比べて肉が分厚くて、ドクター達も時々苦労してた。

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麻酔薬が効き始めて後方に倒れ始めるロバ。ひっくり返らないようにホルターを持って頭部を押さえる。私もやらせてもらったが、100キロ近い体重で引っ張られるので結構力がいる(自分まで倒れそうになったよ)。

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ロバが倒れる瞬間、横に倒す。こうする事でロバが頭を打たないようにする。

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手術前にロバのオチンチンを洗うドクター・オニャンゴ。ああ、獣医の仕事って絶対動物好きじゃないと出来ない仕事かも・・・。(それに変じゃないとできませんね)

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睾丸にメスを入れる「男の敵」的な私・・・。ははは・・・。

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精巣を取り出す。小さな切り口から押し出すので、ゆで卵のようにポンと出てくる(その表現やめてくれる?と友達から非難ゴーゴー)。

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血管を縛った後で使われる、エマスキュレーターと呼ばれるペンチのような恐ろしげな手術器具。片面は血管をつぶして、もう片面は精巣を切り取ります。

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これ、最後まで閉じるのに本当に力がいるのよ。「君は力がないな」とのドクターのコメントに傷つき、ムエタイに通うことを決心。

エマスキュレーターも血管縛るのも大型動物は本当に力がいる!「パワー手術」と呼ぶ方が、正解。パワフルでロバの去勢手術は面白かったけど、決して去勢は私の「趣味」ではないはず・・・(?)。