獣の女医 in アフリカ

してやられたって感じ?

プリンはヤマトの子供で、友達のYちゃんの犬。自分のことを人間だと思っているワガママ犬である。

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このプリンが生後8ヶ月ぐらいの時、Yちゃんのアパートに年取った「グース」という名のメスのスピッツがやってきた。そして、そのグースが発情したそうな。

「たまらんわ〜、もう・・・。」

プリンはグースのフェロモンでキチガイになってしまったらしい。朝早くから夜遅くまで、興奮して「ワォーン!ワォーン!」と近所中に響き渡る、遠吠え。そして、昼間はグースのお尻を追っかけ、一日中交尾してくっついている。アパートの子供達はグースに乗っかり腰を振るプリンに大喜び。まったく子供の教育によろしくない。

「見てやって、プリン。やりすぎで、オチンチン腫れとんねん。」

見てみると、確かにオチンチンが腫れている。バカ、やりすぎだよ、プリン・・・。

「夜中12時近くまで外に出て交尾してて、朝の5時ぐらいから外出せって遠吠え始まるんさ。たえられんわ、ホント・・・。」

生まれて初めての交尾に大興奮して、プリンはすっかり味をしめてしまったらしい。

「どうする・・・?切ってあげようか?」(鬼)。

「う〜ん・・・。かわいそうだから切らないでおこうと思ったけど、これじゃ絶えれないと思う・・・。切ったら交尾に興味なくなるん?」

「そりゃ、玉取ったら男性ホルモン出なくなるから。」

「じゃあ、頼んでもいい?」

ということで、プリンは初めて交尾を知った後、玉を切られるために私の家に来ることになった(ははは)。当時3年生だったが、アニマルシェルターでしょっちゅう虚勢はしていたので、うちでやることに。

プリンは私のことが大嫌い。前にYちゃんが留守の時に10日ほど預かった時にかなり嫌われたらしい。うちの家犬ヤマトとコユキは、絶対に家の中で無駄吠えしないし、絶対に家の中でイタズラなんかしない(私に怒られるのが怖いから)。しかし、プリンは夜になってもずっと無駄吠えしてるし、怒ってもやめないのさ。うるさいから台所に閉じ込めたらどうやって上ったのか分からないけど、カウンターの上に飛び乗って私のご飯をめちゃくちゃにし、ゴミ箱やコンセントは破壊。切れて頭バシッと叩いて怒ったら、怒られ慣れていないのか逆切れして夜に外に出たまま戻って来ない。野犬に食われたら大変なので家に入れようとしたが、私を見ると逃げるので家に戻すのにメードさんと2人がかりで2時間近くかかったよ。厳しくシツケられていないプリンにとって私の家での10日間は強制キャンプみたいだったようで、それからも私の姿を見るだけでひっくり返って降参をし、オシッコをもらす犬になってしまった(汗)。さらに玉取りまでやったら、私はさらにプリンに嫌われるんじゃないかな・・・・。

調べてみると、プリンは片玉だった。一つの精巣は睾丸の中にあるけど、もう一つは皮膚の下だけど、腹部の筋肉の上にある。大きさも普通よりかなり小さい。小さいけど、ちゃんとホルモンを出しているので、それもちゃんと取ることにする。今回の手術室は私の勉強部屋。そして、手術のアシスタントは私のメードさん(嫌がるのを「ほとんど血は出ないから」と無理やり)。

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通常より小さな精巣。

鎮静剤と麻酔薬が効いてくると、プリンを机に載せて、一個目の精巣を取り除く。もう一つの精巣は腹部の筋肉の上なので、皮膚を二箇所切らなければいけないかと思ったら、結構簡単に取り出せた。切るのも1センチ半ほどで、一箇所で済んだ。手術にかかった時間は10分以下。麻酔薬もすぐ終わるので早く目が覚めるように少量にしておいた。手術が終わったプリンは犬のベットに寝かせて、体温が下がらないようにストーブもつけてあげる。昼にはYちゃんが迎えにくるし、1時間ぐらいで目が覚めるだろう。し、しかし、2時間近くたっても、プリンは横たわったまま起きてこない。心拍数や呼吸には異常はないが、起きる兆しが全然見れない。

えっ・・・?

ど、どうしたの・・・?麻酔薬に変に反応してる訳じゃないでしょうね、と心配になった。その後、プリンは目を開けたが、変な痙攣を始める。いくら麻酔から覚める時に痙攣が起こると言っても、もう2時間だよ。ちょっと・・・、何かやばくない・・・?(この時点で、Yちゃんの顔が頭に浮かびかなりパニック状態になる私)。いやいや、パニックになってはいかん、と自分に言い聞かせ、その後もプリンの心拍数などをモニターして様子を見る。頭もあげれず、グッタリして深い息をしながら、時々痙攣をするプリン。獣医友達に電話して相談してみると、「心配ないから大丈夫」とのこと。でも、3時間たってもプリンは起きあがろうともしない。普通の犬ならとっくに起きあがって歩いてもいいころなのに・・・。その時、電話がなった。

「ジャンボ〜!Yだけど、プリンどう?」 (げげ〜っ!)

まだ起きあがらないプリンを横目で見ながら、恐る恐る電話を受ける。

「あ〜、無事に終わったよ。でも、まだプリン寝てるから後で取りに来てくれる・・・?」
(今来られたらやばいでしょ・・・)

「でもね、今、そっちの家の近くなんや。後10分ぐらいで着くから。」 (きゃ〜っ!!)

やばい、やばい、やばいっ!どぉ〜しよ〜〜〜っ!

一人でドタバタ騒いでいると、ゲートの前で車のホーンがっ!も〜来たのっ?!プリンを揺さぶって起こしてみるが、もう3時間たっているのに、目は開いているが体の力が全く入っていない。こんなに麻酔から回復するのに時間がかかるのは絶対に変である。人の犬を預かったのに何をしてしまったんだろう・・・。手術はうまくいったのに・・・。(内心泣きそうになる)

「プリ〜ン!ママだよ〜っ!」

Yちゃんが玄関のドアを開け大声でプリンを呼んだ。すると、どうだろう、今まで私の手の中でグッタリ今にも死にそうな様子を見せていたプリンの耳がピクッと立ちあがったと思ったら、ベットから飛び起き、ヤマトやコユキより早くYちゃんの元へ走っていく。そして、元気に尻尾をフリフリッ。

へっ・・・?どういうこと?

「なんや〜、プリン、起きてんやん。」

「・・・・・・。」 (おいっ!仮病かよっ?!)

いくら私が嫌いだからと言って、そういう心臓に悪いジョークはやめてくれ・・・。まじで心臓が止まるかと思ったじゃん・・・。

後でメードさんが、

「プリン、面白いね。あなたが部屋を出ていくとキョロキョロと顔上げて辺り見まわしているんだけど、あなたが部屋に戻ってくるとグッタリと寝込んじゃうんだもの。」(え?)

な、なぜ、それを早く言わない・・・?

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まじでプリンの仮病はムカついた!バカ〜っ!!