獣の女医 in アフリカ

3月4日

先週アンボセリでマサイの牛が1頭、ゾウに殺されたらしい。そして、昨日また同じことが起こったと聞いた。そのゾウは今まで3頭マサイの牛を殺しており、なんと96年に28人のマサイの戦士に殺された子ゾウのお母さんでもあるらしい。→(96年にマサイのジイサンが公園の外でゾウに殺され、それに対して政府が損害賠償を払わなかった為にマサイの戦士がゾウ49頭(マサイの牛が殺されると牛49頭で支払いしなければいけない)を殺そうと試みた事件)。ジョイス博士に言わせると、ゾウは記憶力が優れていて、これは彼女が子供を殺されたことに対して復讐しているのだそう。アンボセリ・エレファント・プロジェクトはマサイの牛がゾウに殺されるたびに1万5千シリング(約200ドル)の損害賠償金を払っているらしい。

偶然96年にゾウの襲撃をかけたマサイに会ったので、「96年の事件のせいで、ゾウが復讐していることについてどう思う」と聞いてみた。すると、「近頃は俺らもゾウは価値のある動物だということを認識し始めている」と言う。「なんで?」と聞いてみると、「ゾウが牛を殺せば殺すほど損害賠償が入るからな。1頭を殺せば1万5千シリング入る。すると1頭分で3頭の牛が買える。ゾウはどんどん牛を殺せばいい。こっちにとっては、ゾウさまさまだ」だって・・・。なんか、悲しい理屈だなとか思ってしまう。っていうか、ゾウが子供を殺されたからマサイの牛を殺して復讐をしていることについては、あんま考えていないみたい。

アンボセリのマサイは昔から野生動物と衝突していて、ゾウもマサイを目の敵にしている。マラではゾウが歩いていても、マサイは彼らが通り過ぎるまで待ってから通ったりしているのにアンボのマサイは攻撃に走ることが多い。アンボのマサイに言わせると、「俺らはマラのマサイのようにライオンやゾウを怖がらないからな」。なんか、怖がるとか怖がらないとかそういう次元の問題じゃないような気がするんだけどな・・・。マラのマサイがゾウを弓や槍で襲ったりするっていうのは、あんま聞いたことがないし、人がゾウに殺されたってのも何年か前に酔っ払いが深夜ふらふら歩いている時に殺されたことがあったらしいが、それ以外は聞いたことがない。そして、不思議なことにアンボのゾウがマサイの牛を殺すのに対して、マラのゾウは牛をその場から追い出すことはしても、殺すことはしない。私から見てみると、マラのマサイの方が野生動物と共存する仕方をうまく身につけているような気がするのは気のせいなのだろうか・・・。