4月7日
現在、野生動物関係者と地区獣医局とかって、かけ離れている存在なのね。アウトブレークが起こっているのに、誰もそれがケニアの大切な観光業の元になっている野生動物にも関わってくる問題だということを指摘する人がいなかった。っていうか、家畜関係の人は野生動物事情をあまり理解していないので、セレンゲティで起こったジステンパーのことも、「えっ?!ライオンになんかうつったの?」って感じで、知らない人が多かった。そして、野生動物関係者も「えっ?!ジステンパーが回りで起こってるの?」と、マサイランドで起こる問題を誰も知らない。みんな、どっちかに詳しいかで、保護区とマサイランドでの両方の情報を知っている人は、ほとんどいない。
犬が死んでマサイが痛い目みないと自分たちで何もしないでしょうという意見があったけど、それはちょっと違うと思います。毎年観光客が楽しみに来ている7月から9月のヌーの大移動では、マサイたちが大迷惑をこうむっているのって知られていない。ヌーは口蹄病のキャリアーで、自分たちは病気を運ぶだけで発病しない。でも毎年ヌーが大量に移動してくるので、この季節になると保護区近辺のエリアからマサイの牛がどんどん口蹄病にかかっています。ヌーの数が多いと、保護区からマサイランドまでヌーは進入してくるし。おととしはヌーの数も多くて、口蹄病もひどかった。あまりにも口蹄病が広がりすぎて、ロルゴリアンの牛市が一時閉鎖されてしまったほど。そしておととしの年末からはひどい乾期で牛が死んでしまっている上に、牛市閉鎖で牛が売れなく、子供たちが学校行くお金や生活費がなくてマサイたちは大変だったもの。でもね、マサイは野生動物が家畜の病気を持って来ることに対して何かしろなんて、誰も言っていないよ。
ヌーの病気だけじゃなく家畜を襲うライオンだって、保護区の野生動物はマサイにすごく迷惑をかけていることがいっぱい。でも、マサイは保護区と同じぐらい広大な自分たちの土地に野生動物が入り込むことに対して文句を言っていない。保護区の外の土地がなくなったら、保護区から毎晩マサイランドに食料を求めてやってくる草食動物などは、住む土地がなくなってしまう。保護区の野生動物は隣接する広大なマサイランドがないと困るけど、保護区がなくてもマサイには何も支障はない。保護区を彼らの放牧地として返してもらった方が、マサイにとってはいいに決まってる。だって、保護区は元々彼らの放牧地だから。今までのように保護区内の草や水へのアクセスを拒否されることだってないから、家畜にとっても助かるし。ライオンがマサイランドで家畜を襲ってしまったら損害賠償を払う。マサイランドで問題が起きたら、出来るかぎり助けてあげる。それが、彼らの放牧地を野生動物保護区として奪い取ってしまった責任でもあるのではないかと、私は思う。