獣の女医 in アフリカ

7月26日

私のやっているワクチン打ちは、年に一回2ヶ月から3ヶ月ほど集中して行っています。去年のグループは、約500平方キロメートル地方をカバーし、合計3、250匹の犬にワクチンを打ちました。その他のエリアにも打てる資金を集められることが出来れば、もっと多くの地域をカバーすることも可能ですが、現在のマンパワー(私とレシンゴ)と資金だと500平方キロメートルが精一杯。ワクチン打ちの時は毎日決まったスケジュールで動いているけど、その他の時期は治療やコンサルテーションに呼ばれた時にアテンドするので、得に決まったスケジュールで出回っている訳ではありません。なので、他の時期は保護区の仕事やったり、いろいろ違う仕事しています。

最近は怪我の治療より、怪我の原因である「肉食獣の被害」を重視する傾向に向っているのが現状。ワクチンも病気になる前に予防するもの。そして、肉食獣による被害も、どうやったら事前に防げるかを真剣に取り組んでいます。今年アプリケーションを書いて助成金を取ったのも、「害獣コントロール」の為です。来年の為に向って取ろうとしている助成金も、「害獣コントロール」、「コミュニティーの環境教育」、「家畜の質の向上」の為の物(もし受かれば)。なので、私がやっている仕事はペット獣医さんのように動物との触れ合いとかそういう心温まる仕事ではなく、もっと holisticなアプローチからの環境保護です。

病気でも野生動物の衝突でも、病気になってからじゃ遅いし、肉食獣に被害を受けてからでは遅い。僻地に住む人や動物だから、最初っから「最悪の結果」(この場合、病気や怪我や殺害)を避けた方が経済的にも環境的にも一番いい。なるべくなら、最初っから動物に病気なんてなって欲しくない。大げさに言えば、飼い主に呼ばれるケースが少なくなればなるほど、いい。なぜかって?それは、呼ばれるケースが少ないってことは、「動物が健康」だってことの証明だから。だって、動物が病気になったり怪我するのは、損にはなるけど、誰の得にもならないもの。薬代とかかかったり家畜の生産力落ちたりして、飼い主にも得にならない。飼い主から治療代なんか取っていないので、私にも得にならない。そして、何より、動物に得にならん。健康でいるのが、一番。予防が一番なんです。

人間だってそう。莫大な予算を使ってのエイズの特効薬の研究は必要だと思うけど、それよりもっと必要なのはある。どうやったら、より多くの人がエイズに感染しないで生きていけるかってこと。マサイマラでもエイズ問題はすごい。うちの近くの町でも、こないだそうとうな数の接客をしていた娼婦がエイズで死んで、レシンゴの予想だとそうとうな男たちが感染しているだろうとのこと。知ってるマサイでも感染しているのを病院で聞かされたのに、まだ奥さんに言っていない人も知ってるし(観光マニャッタの一人ね)。エイズの症状が出ているのに「薬草で治った」と言い、今度うちの近所の村から14歳のヨメをもらう予定の人も知ってる。マサイマラでのエイズ感染の、ほとんどの原因はアル中と無教育(性教育のことね)。アル中の原因は、観光客が村に落とすあぶく銭であったり、手に職がないので一日中何もしないでウダウダしているライフスタイルであったり、いろいろ。そして、アルコールに溺れる人の回りに娼婦が集まり、エイズが蔓延。悪循環です。でも、ここに教育を入れ込み、手に職を付けれる専門学校を建ててあげたりすれば、そのサイクルが断ち切れる可能性が高くなる。予防って、本当は一番大切なこと。でも、あまり重視されていない。

かわいそうな動物の病気を治療して、その動物が完治して飼い主にありがとうと言われるのは、確かに心温まると思う。健康な犬が病気にならないようにワクチンを打って、健康が家畜が病気にならないようにちゃんとした生活環境を与えるよう飼い主にレクチャー。そして、健康な家畜が肉食獣に殺されないように、放牧のスタイルや民家の作りなどをチェックして、害獣コントロールを重視する。はっきり言って、私のやっている仕事は、か〜なり地味な仕事です。ワイヤー罠で怪我したゾウを豪快に麻酔銃で打って治療する獣医さんは憧れのまなざしを受けるけど、地味にパトロールにでてワイヤー罠を何千個も回収するレンジャーは、舞台裏で黙々とブッシュを歩き回っているのと同じこと。私は原因となる要素をなくすアプローチが、何よりもpracticalで、人や動物の為になると信じている。

後、こないだ一夜漬けで書いた野生動物病理関係のアプリケーションも通ったので、検死した後にサンプル採集したり保存出来る小さなラボを作る助成金を先週やっと取る事が出来ました。これは、こないだのような毒殺のケースなどをもっと詳しく調べる為の施設を作る為。何もしなければ、ただ死んで土に帰る動物。調べないと病原菌なのか毒なのか、何が死因なのかは分からない。だから、ライオン研究者やNYブロンクス動物園の病理学者たちと組んで、表沙汰に出ないで忍び寄る「死因」を解読する試みに取り組み始めたのね。あ、これも、地味よね。なんか、私のやってることって、分かりにくいことばっかりだな・・・(笑)。

マサイマラでの私の写真コレクション♪

レンジャーたちの活躍写真コレクション!

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